に行ってきました。
大学院生による展覧会なので、学群生(他大学でいうところの「学科」を筑波大学では「学群」といいます)に比べ、個性が際立った実力のある作品が多く並びます。どれも大作ですし力作が多いのですが、そのなかでも印象に残った作品を洋画・日本画・版画のコースそれぞれから一作ずつご紹介します。
版画コース
「なか庭」 竹内秀美 油性木版 180㎝×180㎝
タイトルはなか庭ですが、森の絵だと思いました。森を抜ける一歩手前から、向こう側から射す光を見ている構図。
スクエアのキャンバスに光を中心として、同心円を描いて緑の森が描かれている。キャンバスのすべてを緑の森で埋め尽くしたら、退屈な絵になったはず。そこにセンスを感じます。
また木版のインクの微妙な濃淡があることも、同系色の画面を退屈に見せないポイントだと思う。
静かだけれど、飽きさせない作品。
日本画コース
「雨の出発点は光の生まれるところ」 加藤由紀 パネル、麻紙、膠、岩絵具、水干絵具、箔、鉛筆 162㎝×162㎝
タイトルからいいですね。ハッとしました。今日みたいな嫌になるくらいの雨も、光の生まれるところから、この地上へとやってきているんですね。
単純化して描かれた空、山、野の中を雨の線が走る絵。風景はまるで黄色と白の色紙を切って貼ったようなパキッとしたもの。雨だってただの鉛筆で描いた線。遊び心が感じられて、見ていて楽しい。
すっごくシンプルなんだけど、なにげに下層に銀箔が貼られていたり、雨の線にところどころ、ピンクや水色、緑の線を沿わせている。その目立たないちょっとした部分が、画面にアクセントと深みを与えている。遊んでるだけぢゃないんですね。
洋画コース
「Park」 茅根賢二 パネル、綿布、油彩 194㎝×260.6㎝
タイトルのParkは駐車?駐車中、あるいは一旦停止中の車中から、夜のまちと歩行者を見て描いたような絵。暗い背景に浮かび上がる歩行者はスーツ姿。こちらに背を向け横断歩道を歩いていく。その先には街のネオン。仕事帰りにどこへ向かうのか。
どこへも行くあてがない、ようにも見える。
なぜ、そう思うのか。それはキャンバスに対して、絵の構図が右上がりに斜めになっているから。町のネオンも右斜めに尾を引いている。その不安定な構図が、観る者にネガティブな感情を想起させる。
他の作品が自らの若さゆえの感情や不安をストレートに画面に表している中、この作品は冷静なタッチで、日常目にしそうな一場面を切り取って描くことで、非常にリアルな不安を表現している。
学生たちの力作は12月5日まで茨城県つくば美術館で開かれています。
http://www.tsukuba.museum.ibk.ed.jp/2007/2007index.html
ご覧いただきありがとうございます。
大雨の被害は大丈夫でしたか?

にほんブログ村
スポンサーサイト