ある日の夢 (新作のご紹介)


 
 
「古えの美しい魔法」  F3    油彩
 
 
夢を見ました。
 
 
   舞台は外国のとある町。
 
 
   少年はクラスメイトと喧嘩をした。
 
 
   相手はクラスのムードメーカー的な奴。
   やんちゃでまっすぐ、思ったことはすぐに言うタイプ。
 
   少年はその逆。
   言いたいことも飲み込んでしまう。
 
   
   喧嘩の原因はよく分からない。
 
   ただ奴がいつもの大声で少年をからかった。
 
   クラスの中で。
   大勢の前で。
 
 
   「何言ってんだよ。ばかだなあ!」
 
 
   そう言えればよかった。他のクラスメイトのように。
 
   
   でも彼は言えなかった。
 
   無言でクラスを後にした。
 
 
 
   それっきり・・・
 
 
   
   夜、人々に代わって、星々が騒ぎ始めるころ。
 
   少年はベッドの上に寝転んだまま、眠ることができないでいた。
   眉間にしわを寄せ、消化不良のなんともいえない表情で。
 
 
   突然。
 
   すっくとベッドから立ち上がったとおもったら、
   次の瞬間にはもう少年の足は駈け出していた。
   奴の家の方角へ。
 
   常識的に考えたら、この時間に会えるわけがない。
 
   それでも足を止めることはできない。
 
 
   誰もいない通り。
   駆ける足音。
   荒い息。
 
   「シャーーーカタン、カタンーーー」   
   そこに自転車を漕ぐ音が加わる。
 
   
 
    星空のもとで、彼らははち合わせた。
    
 
 
    彼らは向かい合った。
    (と、言っても、照れくささからか、少年は下を向き、
    もう一方も口を尖らせ斜め下を見ていた)
 
    そして少年が言葉を切り出した。
 
    
     何を話したかは聞こえなかった。
     けれど、その場の空気が澄んだものになっていったのが分かった。
 
 
 
 
     そんな彼らへのプレゼント・・・なのか。
 
 
     西の空から光の玉がものすごいスピードで降ってきて、
     彼らの3メートルほど先の地面にめり込んだ。
     
     瞬間、
     
     あたり一面が光の波に包まれ   
     大きな光の柱がアスファルトを突き破った。
 
     まるで町に突如現れた氷山。
     
     けれど、冷たさのない澄んだ美しい光。
 
 
     あっけにとられるふたりの少年。
     あいた口がふさがらないとはこのこと。
 
 
     しばらくの後、彼らはほぼ同じタイミングで目を合わせ、
     そして、吹き出して、飽きるまで笑い合っただろう。
 
     
 
 
     彼らが知っていたかは分らない。
   
 
     あれは、古えの魔法。
 
 
     ただの魔法。
 
     策略、陰謀、復讐の道具に利用される前の時代。
     怖れではなく、畏れられていた頃の魔法。
 
 
     誰かをどうにかしようなどとは、つゆほどにも思わない、
     誰かが仕掛けたただの魔法。
 
     その場に居合わせた人間が、驚くことはあるかもしれない。
     (今回のように)
     でもそれはご愛敬。
 
 
      
     運のいい少年らは、その偶然によって、
     ひとつの価値あるものを手に入れた。      
      
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Category: 油絵

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